黄斑前膜

黄斑前膜とは網膜の黄斑部の表面の膜のことで、分厚くなって収縮すると網膜に皺が寄って視力低下や変視症(ものが歪んで見えること)を来します。

 

この膜は生理的で誰でも高齢になると起こり得るものです。年とともに硝子体が液化し、中〜高年で硝子体剥離を来します。これが飛蚊症の原因です。硝子体剥離の後、網膜の最内層で細胞が増殖すると膜が形成されます。

 

誰でも起こりえますが、女性にやや多く、網膜裂孔や糖尿病などによく合併します。

 

頻度としては一定の年齢以上だと5〜10%くらいで、OCTの進歩により発見率が上がりました。最近ではOCTを持っている眼科さんが多いので、白内障とともに黄斑前膜が見つけられていることも多く、紹介医から白内障との同時手術を依頼されることもあります。Phacovitrectomy(超音波白内障硝子体手術)です。

 

手術は硝子体手術で、膜をピンセットでつまんで剥がします。膜が薄い場合は染色をしますので、安全に行うことができます。日帰りで行える手術です。

 

白内障手術の患者さんに黄斑前膜を認めた場合、白内障と同時に硝子体手術を行うかどうかは、意見が分かれるところです。

 

白内障術後の黄斑浮腫は数パーセントの頻度で起こり得ますが、黄斑前膜をそのままにしておくと、その頻度は〜20%に上がると言われています。また、白内障手術による炎症で膜の増殖、収縮が進行する可能性もあります。

 

術前から変視症があるなど、視機能に対する黄斑前膜の関与が明らかな場合はもちろん、OCT所見で安全に膜が剥がせそうだったら同時手術がお勧めです。

 

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