ILM ピール

先週は月曜に2例、金曜に4例の硝子体手術を行ないました。当院としては多い方です。

うち2例は黄斑円孔(mh)の症例でした。mhとは網膜の黄斑部、中心窩に孔があいて視力が落ちる病態です。前回に書きましたOCTにより容易に診断できます。

mhは最近まで不治の病でした。私が研修医の頃はもちろん、mhを治療することはありませんでした。ところが、1990年代終わり頃にこの病気の治療法が開発され、2000年に入ると、ILMピールによりかなり高い確率で治ることが判って来たのです。

ILMとは網膜の最も内側の膜で、神経網膜を支える基底膜のようなものです。mhではILMを基盤とした硝子体の膜形成が発症に関わっており、したがって、ILMを含む膜を取り除くと治ることがあるのです。

特に発症の初期段階ではほとんど100%治すことができます。必ずしもILMを取り除く必要はありませんが、取り除いた方が治癒率が上がります。

ILMはとても薄い膜ですし、網膜にくっついていますので、はがすのはなかなか困難でしたが、10年前くらいに染色して摘む方法が開発されて以来、ポピュラーな術式となりました。

最近ではILMピール専用の鉗子や刷毛なども開発されていますので、比較的安全に行なうことが出来ます。

「黄斑円孔」「黄斑前膜」「硝子体黄斑癒着」などの黄斑疾患も当院で日帰り手術が可能ですので、ご相談ください。

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