黄斑前膜

黄斑前膜とは眼の奥、黄斑部の網膜の前にできた薄い膜のことです。この膜が収縮すると、黄斑部の網膜に皺がより、物が歪んで見えたり(変視症)、大きく見えたり(巨視症)、視力が落ちたりします。

高齢になると、かなり高い頻度で黄斑前膜は発症します。4〜18%という報告があります。白内障手術を受ける方では、同じような頻度で黄斑前膜を認めます。

昔は眼底検査での検出が困難でしたが、今やOCTが普及していますので、眼科で検査すると前膜がすぐに見つかります。

白内障手術を受けられる患者さんに黄斑前膜を認めた場合、3通りの対処方法があります。

1)白内障手術のみを行い、前膜は経過観察とする。前膜による症状が出た時には、あとで硝子体手術を行う。
2)硝子体手術のみを行い、白内障は後日別の機会に手術する。
3)白内障手術と同時に硝子体手術を行い、前膜も除去する。

健康保険によれば、上記3通りのいずれも可能です。別々でも同時でも構いません。しかし、患者さんの利便性を考えますと、3)の同時手術の方が好ましいと思われます。

また、1)の場合、視力に影響する術後黄斑浮腫の発生頻度が高いことが報告されています。糖尿病併発の場合は特に高くなります。

従って、坪井眼科では、白内障手術ご希望の患者さんに黄斑前膜を認めた場合、3)の同時手術を原則としています。ただし、白内障がなくて前膜のみの場合、2)にすることもあります。

多焦点レンズの移植手術では硝子体との同時手術は保険で認められていません。多焦点レンズが自費診療だからです。よって、1)または2)で対処することになります。

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