遺伝子検査に思うこと

今月号の日本眼科学会雑誌の巻頭言にて、アメリカの眼科学会に参加された先生が、「国による考え方の違いを痛感した」との感想を述べておられました。例えば、症例提示のセッションで、「このような患者に対して初めに実施すべき検査は何か?」という問いが出され、日本ならば「眼科的な検査やMRI」と答えそうなところが、アメリカでは「遺伝子検査」であったそうです。
昨日の時事通信のニュースでも、有名なアメリカの女優さんが、遺伝子検査にて乳がん発症のリスクが高いことが判明したため、乳腺の予防的切除を受けたと発表されていました。これもまだ日本では見かけない治療です。
近い将来、日本でも遺伝子検査が積極的に行われるようになりそうですね。さらに、それとともに遺伝子治療も発展していくという流れは避けられないでしょうが、そんな未来を早く見てみたいような、でも少し末恐ろしいような複雑な気分です。この流れが、人類が開けてはならないパンドラの箱でないことを祈るばかりです。

“Pandora” John William Waterhouse (1896)
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