眼科診療アップデートセミナー 2011

先週末に京都で行われた眼科診療アップデートセミナーに参加しました。
これは毎年行われており、眼科の各分野のエキスパートの先生方による講義をたっぷりと2日間にわたって拝聴できるので大変勉強になります。
なかでも私の興味をひいたのは、緑内障分野でのOCT(光干渉断層計)所見の解釈についてのご講演(岐阜大学 山本教授)です。
近年のOCTの急速な進歩により、今までよく分からなかったような目の病気の中身がどんどんとOCTで解明されたり、病気に対する新たなOCTの応用方法が発表されたりしています。OCTについては、当ブログ内でも以前に書いたこともあります(2009年12月24日)。
今回のご講演では、緑内障において、視野欠損に先立つ網膜神経線維層や神経節細胞の異常をOCTで鋭敏に検出できることを、実際の症例を提示して説明していただきました。特に、緑内障でこれまで重要とされていた視神経乳頭部周囲よりも、むしろ黄斑部のOCTの方が実は重要という点が斬新でした。例えば、もしも視野検査では軽度の異常しか検出されなかったとしても、黄斑部のOCTで広範な網膜神経線維の欠損を認めたなら、将来的には視野異常が進行するというを意味します。
これを利用すれば、それぞれの緑内障患者さんについて、今後視野欠損が進行するかどうかをあらかじめ予測できます。将来明らかに悪化しそうな場合には、あらかじめ治療を強化したり、より詳しく説明したりできるというわけです。素晴らしいの一言に尽きます。
早速、当院のOCTでも実践してきたいと思います。
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