フェムトセカンド

フェムトセカンド レーザーの眼科応用は、現在のところ屈折矯正手術(LASIK)で盛んですが、白内障手術においても実用化されつつあります。

現在ボストンで行われているASCRSからの報告によれば、米国にて少なくとも3機種が発売を目指しています。用途として最も確実なのは、CCCの作成です。

ご存知のように、CCCとIOL光学部(オプティックス)の大きさの関係はIOLの固定に影響します。たとえば、CCC開口部がオプティックスよりも極端に小さいとIOLの前面がよく保持されますので、全体として前房が深くなり、遠視化します。逆に、CCCのエッジがオプティックスよりも大きいと、IOLが前に位置して近視化いたします。

余談ですが、このことを踏まえると、IOL術後の屈折誤差の矯正にヤグレーザーが使えます。近視方向を目指す調整のためには、前嚢の放射状切開、遠視方向へは、後嚢の広範囲な切開が有効です。

CCCをフェムトセカンドで行う利点は、センタリングおよび大きさをコントロールできるということになります。これにより、術後の屈折誤差を最小限にすることができます。

しかし、従来からのセッシによる方法でもコントロールは可能であり、わざわざ高いレーザーを用いなくともとは思います。

今ひとつの応用は、水晶体核の分離です。いわゆるチョッピングをレーザーで行うというものです。

これとて、従来の方法に慣れた術者にとってわずらわしいだけのことであり、とりたてて言うほどの成果ではありませんね。

しかし、最後の項目についてはちょっと注目されます。フェムトセカンドをあてることにより水晶体の硬度を柔らかくし、調節力の回復につなげようとの試みです。混濁が生じないこと、嚢を破らないことなどなど、克服すべきことが多いように思いますが、これに成功すれば理想的な老眼治療につながることでしょう。


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