加齢黄斑変性症と抗血管新生薬

4月からの診療報酬の改定で、「硝子体内注射」という項目が追加されます。これは、加齢黄斑変性症の新しい治療が普及したからです。(実は、今まではこれに該当する項目がなかったので、多くの眼科医が困っておりました。)
加齢黄斑変性症は、年齢とともに網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、真ん中のちょうど見たいところが見えにくくなるという病気です。50歳以上の人の約1%にみられ、高齢になるほど多くみられます。
以前は良い治療法がなかったのですが、近年になり治療法が研究・開発され、早く見つければある程度の視力が維持できるようになってきました。
治療は数年前まで手術やレーザーが主流でしたが、一昨年ほど前に抗血管新生薬という新しい薬剤が国内で認可されてからは、これを目に注射する方法(硝子体内注射)が主流になりました。
この治療(ルセンティス®硝子体内注射)を行った患者さんの眼底写真です。

右は眼底写真で、網膜の出血や白い新生血管(黄斑変性症の本体)が写っています。左はその真ん中あたりの断層写真(OCT)です。
以前の治療方法に比べると、視力を保ちやすいという報告が多くなされています。とはいっても、黄斑変性症はなかなか厄介な病気ですので、一番下の写真のように病状が進みすぎていると薬がほとんど効きません。
予防と早期発見・早期治療が大事ですので、見え方のゆがみ・かすみを感じたら、早めに眼科を受診してください。
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