ショパンの指使い

今日は白内障手術が行われました。

うち1例でテクニスマルチ(多焦点IOL)を使用しました。以前書きましたように、上側強膜切開を行い、下側輪部にLRI(Limbal Relaxing Incision)を置きました。高度近視の直乱視ではこの方法が最も良いようです。

さて、前にショパンのバラードについて書きました。最後のところの指使いが素晴らしい楽譜があるということの紹介でした。これはウィーン原典版というもので、編集者はヤン・エキエルです。

実はこのエキエルさん、ポーランドショパンの母国)の国立音楽院の先生で、国家事業としてショパンの楽譜を出版されています。ショパンの楽譜といえば、同じようなポーランドの国家事業で成立したいわゆる「パデレフスキ版」が有名でした。最近のエキエル版はこれを塗り替えるもので、ショパンコンクールにおいても標準の楽譜になっているそうです。

ということは、現時点でショパンを演奏する場合、必ずや参照すべき楽譜ということになります。

ショパンは自分自身や弟子のために楽譜に指使いを書き込み、出版しました。しかし、その後いろんな編集者がいろいろ付け加えるうちに、ショパンの指使いとその他のものが混在するようになり、一体何がオリジナルかが不明となっていました。

エキエル版の楽譜では、ありがたいことに、ショパン自身の指使いが他と区別して記載されています。これは画期的な出来事です。

われわれ素人が、音楽大学や楽派と無関係に演奏を楽しむのは楽譜だけが頼りです。

そこで早速しらべたのが、難曲として有名なエチュードの作品25−6です。これは3度の練習のための曲で、特に冒頭の演奏が、指定された指使いではなかなか困難なのです。

これはウィーン原典版のコピーですが、この部分で、41−52と弾き続けるのがなかなか難しいです。しかし、音符の上に別にあるように、42−51だととても簡単です。一体ショパンの意図はどちらだったのでしょうか?

エキエル版を見ると、やっぱりといいますか、ショパンは41−52を指定していました。

まあ、小生の腕では一生かかっても、この指使いでかつ指定されたメトロノーム記号の速度では演奏できないでしょう。

あらためて、ショパンの演奏技術に恐れ入るばかりです。


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