片頭痛

片頭痛では脈絡膜厚が増加している」(※1)
近年、OCTのさらなる発達により、網膜よりも深層の脈絡膜まで撮影できるようになりつつあります。
網膜は検眼鏡でも直接見ることができますので、今までのOCTは検眼鏡で見たものがさらに詳細に確認できるという検査でした。
ところが、脈絡膜は検眼鏡ではうっすら血管が見えるのみで、今まで詳細は不明でした。これがOCTで撮影できるようになったことは大きな意義があります。
これから脈絡膜の知見が蓄積されるとともに、病態の把握や、ひいては治療などにパラダイムシフトを起こしていくかも知れません。
その一例になりそうなものとして、トルコの研究グループによる上記の論文を紹介します。
片頭痛時には、平常時に比べてOCTによる脈絡膜厚が有意に増加していたとのことです。
片頭痛では、「目の奥が痛い」とおっしゃる患者さんがよくおられますが、もしかしたら脈絡膜由来の痛みなのかもしれません。
脈絡膜厚には日内変動があることもすでに報告されています(※2)ので、片頭痛持ちの人はこの日内変動が大きすぎるなどの要素があるのかも知れません。
また、頭痛に用いられることのある血管収縮薬も、実は頭の血管ではなく、脈絡膜血管に対して効いている可能性があります。
このあたりも、これから解明されていくことでしょう。

※1 Dadaci Z et al. BJO 2014; 98(7):972-5
※2 Tan CS et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 2012; 53: 261-6
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