眼科の特殊性

来年の3月、坪井眼科は開院30年を迎えます。これだけの長い間、大勢の患者さんに接して臨床医として活動を続けて来られたのは、とてもラッキーであり幸せに思っています。これは眼科の特殊事情が大いに関係していますので、今日はこのことについて書いてみます(本邦初公開)。

 

先日大学の同窓会がありました。大阪大学医学部昭和50年卒の集まりです。出席者は30名余りで、卒業生の30%くらいになります。もちろん全員が古希ごえということですが、無職の方は一人もおられません。大学に残っていた人は関連病院の院長職を終えて民間病院の理事長になっていたり、研修医を終えてすぐ民間病院院長や理事長になっていた方はそのままだったり、勤務医を終えて介護施設長になっていたり、大学と喧嘩してすぐに開業した先生はそのまま40年間続けておられたり、とさまざまながら、全員が医師として働いておられるのには驚きました。

 

しかし、外科系の医師で手術を続けている先生は(小生を除いて)皆無でした。一般(消化器)外科、小児外科、脳外科、産婦人科泌尿器科耳鼻咽喉科、形成外科、眼科とあった中、実際に手術を手がけているのは眼科医1名(小生)のみでした。

 

他の科の先生方とお話ししていて、結局のところ、手術をやめるきっかけは「老眼」のようでした。「見えなくなってきたからやめた」という声が多かったのです。開腹手術など、昔はほぼ手作業で、近くの細かい部分が見えないと話になりません。のちに腹腔鏡やダビンチに取って代わってからも、近くのモニターを見る必要があるので老眼では手術がしにくいというのは変わりません。

 

ところが唯一眼科では顕微鏡手術が未だに主流なのです。顕微鏡を覗いている限り、老眼は関係なく、ピント合わせや拡大は自由であり、矯正視力さえよければ老若関係ありません。眼内レンズのカートリッジへの挿入など、裸眼でできなければ顕微鏡下で行えば良いだけです。

 

その顕微鏡は年々進歩しており、最近購入したライカのProveo 8に至っては、どこからどこまでも見えるような気がします。顕微鏡下で行うあらゆる手術がより易しく、安全になりました。

 

眼科では外来診療でも昔からスリットランプという顕微鏡を使っています。また、最近は画像診断が発達しており、診断もいわばオートマティックになっており、時代の進歩に器械が応じてくれます。最新の手術、診断器械を使っている限り、年齢に関係なく臨床活動を続けることができるのです。これは眼科ならではの特権と思います。

 

さて、来年の30周年を迎えるにあたり、大げさな行事は行いませんが、ホームページの見直しは行うつもりです。ホームページを見て来られる患者さんがとても多いからです。坪井眼科ならではの正確、公正、かつ高度なホームページを作り上げるつもりです。

 

ST