屈折合わせ

「視力の悪い方の眼だけ手術してほしい」とは多くの白内障患者さんの思いです。例えば、矯正視力が右(0.5)左(1.5)の場合、右眼だけを手術したら矯正視力が両眼とも(1.5)になりますのでメデタシメデタシという訳です。

 

しかし例えば近視がとても強い場合はどうでしょうか。普段からメガネではちゃんと視力が出ないのでコンタクトレンズに頼って生活しているような方です。中等度〜高度近視が当てはまります。度数にすれば-5D以上です。

 

度数が-5Dといえば、眼前20cmにピントが合う近視です。ここまでの強い近視では、裸眼で食事などの近作業も不便です。若い頃ならコンタクトレンズで間に合いますが、年齢とともにコンタクトレンズは使用できなくなってきます。なるべくなら、裸眼で日常生活がしやすい軽度近視(-2〜-3Dくらい)が望ましいのです。

 

そこで白内障手術の際にちょうど良い軽度近視を狙うとすると、術後は健眼(-5D)との間に度数の差が生じ(不同視)、メガネがかけれなくなります。

 

これを避けるためには、60代以上であれば両眼手術とすることにより左右の屈折を合わせて、裸眼でも生活可能なレベルに持ってくる必要が出てきます。

 

また、調節力の残っている40代以下では白内障手術により調節力を失いますので、健眼をLASIKまたはICLで近視だけを治すことにより屈折合わせが可能です。

 

遠視の場合もまた然りで、ご高齢の方では両眼手術が望ましいのは言うまでもありません。遠視は狭隅角を伴うことも多く、なおのこと両眼手術が勧められます。

 

白内障手術は屈折手術を兼ねていることを忘れてはなりません。

 

ST