LASIKとICLの使い分け

LASIKとICLはどちらも近視、乱視を治す屈折手術です。結果は同じでも中身、適応など異なります。では、どちらを選択するべきでしょうか。価格を考慮せずに考えます。

 

LASIKは角膜の表面や実質にエキシマレーザーを照射し、角膜の形状を変化させることで屈折異常を矯正します。コンタクトレンズを乗せた形を永続させるようなものです。一方ICLでは、眼内の虹彩と水晶体の間に差し込む形で、レンズを挿入します。前者は即席でレンズを作りますが、後者は工場で作られたレンズを入れます。

 

LASIKでは角膜の厚みを一定以上残す必要がありますので、削れる深さ=矯正可能な度数に限度があります。100μ削るとして、矯正可能な度数は-6Dくらいまでです。

 

LASIKでは削る度数の調整は0.01D刻みと正確です。一方ICLの刻みは0.5Dです。理論的にはLASIKのほうが矯正精度が高いといえます。乱視の軸合わせの精度もLASIKのほうが正確です。

 

ICLのレンズは-3Dまでの低い度数には対応していません。そのかわり、矯正可能範囲は-10D以上でもOKです。工場生産のレンズですので、度の強いレンズでもLASIKのように光学特性が劣化することはありません。LASIKで-10D以上もの強い度数の矯正レンズを作ろうとすると、削る深さに限度があるのでレンズの直径を小さくせざるを得ないのです。

 

以上ですので、LASIKとICLの分担はほぼ決まっており、遠視~-3D程度の軽度近視はLASIK、-3D~-6Dまでの中等度近視はどちらでもよく、-6D以上の高度近視はICLがベターとなります。

 

価格を考慮すれば、-6D以下はLASIK,以上はICLとなるでしょうか。個々のケースによりこの原則からはずれることもありますが。

 

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