多焦点レンズの難しさ

今週は週末に東京で学会があり、職員の一部とともに出席いたします。木曜日の予定手術はありません。

当院へは、他院で手術を受けたものの調子が悪いとのことで来院される方も多いです。いわゆるセカンドオピニオンです。でも、大抵はなんらかの誤解に基づいていることが多いのです。

多焦点レンズを挿入されたものの見えにくいとの訴えも多いです。手術はとても綺麗で、レンズにも問題ないのに見えにくいのは、遠視、近視、乱視などの屈折異常が残っているか、ドライアイで眼表面が荒れているか、網膜に炎症が及んでいるかのどれかが原因です。

術前の検査でピタッと屈折を合わせることは、全症例で可能な訳ではありません。必ず一部に屈折誤差が生じるのです。また多少の乱視はどうしても残ってしまいます。

最初の眼で屈折誤差が生じても、両眼の手術でならば、もう片眼で修正することが可能です。両眼の手術を予定していた場合、片眼でやめてしまっては、手術の効果の80%以上が失われてしまいます。

もともと遠視や近視が強かった方では、片眼のみの手術だと不同視になり、両眼視では術前よりかえって悪くなることすらあります。

しかし、最初の眼の見え方が不満だと、なかなか残りの手術に踏み切っていただけないのも実情です。ここに多焦点レンズのむつかしさがあります。

患者さんとの信頼関係を結び、手術の結果の判断は両眼の手術が終了するまで待っていただくことが大切です。

したがって、多焦点レンズでは両眼の手術の間隔をあけない工夫も必要になってきます。

当院では両眼の多焦点レンズの場合、連日あるいは同日手術を原則としています。

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