ショパンの協奏曲

前回書きましたように、ショパンポーランド期の作品は、ショパンが20歳をちょっと出たくらいまでのものですが、当時の天才作曲家の例に漏れず、後世の我々の感覚からは想像もできないほどに完成された、優れた作品となっています。

2曲あるピアノ協奏曲、アンダンテスピアナートと華麗なるポロネーズ、変奏曲作品2などに見られるごとく、オーケストラの伴奏付きの曲が多かったのは、自分がソリストになって演奏会をするためのものであり、その方がより効果的だったからでしょう。

ところが、よく言われますように、モーツァルトやベートーベンの協奏曲に比べ、オーケストラの部分が貧弱で、無かってもそれほど困らない感じです。実際、上記作品はショパンの生前ピアノソロ作品として出版されたらしいことは、エキエルの楽譜により明らかです。

2曲ある協奏曲のうち最初に出来たのは2番で、1番が少し後のようです。どちらの曲もショパン自身が演奏会で取り上げており、演奏効果が上がるのはもちろんですが、ショパン独特のピアノ書法が次から次へと出てきますので、ショパンに慣れるのに最適の曲です。1番よりも2番の方が練習用としてより優れているように思います。

ショパンの練習曲(作品10と25)は、コンチェルトを弾くための練習と言われることがありますが、実際はコンチェルトよりも難しいと思います。

コンチェルトに見られる独特のピアノ書法を素材として、芸術的に深め、極めつくしたのが練習曲です。

ショパンとてエチュードの全曲演奏は記録にありません。よく取り上げたのは作品25の1や2、比較的演奏容易な曲だけです。

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