角膜上皮の再生治療薬

角膜上皮が手術や外傷で大きく欠損してしまった場合、再生には時間がかかります。
もしも治りがあまりに遅いと、感染を起こしたり、角膜に混濁や不整な凹凸が残ってしまう可能性があります。
例えば、皮膚でも怪我の治りが遅いとジクジクして瘢痕が残ったりするのと同じです。
レーゼックや角膜クロスリンキングでは、手術により人工的にこのような角膜上皮欠損を作り出してしまいますので、一刻も早く上皮が治ってほしいというのが術者と患者共通の切なる願いです。
とはいえ、実は特効薬は今のところなく、コンタクトレンズで角膜の表面を覆ったり、ドライアイ用のヒアルロン酸ナトリウム点眼を用いて治癒を促進するというのが一般的です。
特殊な方法としては、血清点眼を用いるという方法もありますが、まだ製剤化されておらず、患者さんの血液を採取して作成せねばならないため、一部の施設でしか行われていないのが現状です。
そこで、製剤化された角膜上皮の再生治療薬が待望されるわけですが、このたび米国眼科学会からこの理想に近い点眼の研究が発表されていました。
Regenerative Medicine Speeds Healing of Eye Tissue Following Surgery
円錐角膜に対する角膜クロスリンキング術後の患者さんに用いたところ、用いない場合に比べて倍以上の速さで角膜上皮が再生したようです。
角膜の難治性疾患に対しても応用できそうですので、順調に臨床応用されることを期待しています。
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