タッチアップLASIK

タッチアップとは、多焦点眼内レンズ移植のあとの屈折誤差をLASIKで治す治療を言います。

裸眼視力が求められる治療法では、当然のこと、屈折誤差が大きな影響を与えます。といっても、大きくずれているわけではなく、せいぜい±1D(ディオプター)程度の近視、遠視、乱視なのですが、裸眼視力には大きな影響を与えてしまいます。

それを矯正する方法として、メガネは有効ですが、もともと「裸眼での生活」を目的としていますので、なるべくなら避けたい。という場合に、タッチアップが役に立つのです。

文献的には、多焦点移植術の1割弱でLASIKが必要との報告もあります。もちろん、裸眼視力の向上を追求すればするほど、タッチアップLASIKの頻度は高くなります。視力1.0を切ったとたんに「見えにくい」と感じる人もおれば、「何ともなく、良く見える」とおっしゃる方もおられます。

ということで、当院でもタッチアップを選択される患者さんが多いのですが、最近、「LASIKは恐いことないですか」とかおっしゃる患者さんが増えて、説明に困ってしまいます。

LASIKの術後、視力の質の低下やドライアイ、矯正視力低下、眼精疲労など、合併症に悩まされる例がないとは言いませんが、そもそもの適応をしっかり守っておれば、そうそう生じるものではありません。

タッチアップに関して言えば、矯正量がごく少なく、ということは、角膜をごくわずかに削るだけですので、上記のような問題はほとんど生じません(もちろん、適応を守っての場合です)。

フラップの合併症が怖いと思われる向きには、フラップレスのLASEKを薦めています。これなら、フラップを作りませんので、合併症が起こりえません。ただし、術直後の視力の立ち上がりはLASIKにくらべて悪くはなります。

いずれにしても、微小な屈折誤差を治療する手段として、LASIK、LASEKほど安全かつ確実な手術はありません。世界的にみても常識、眼科における、一丁目一番地の知識です。

おかしな偏見や扇動に迷わされないようにお願いします。

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