関空の問題点

海外旅行でわくわくどきどきした経験は誰でもあるでしょう。初めて外国へ行った時、どんな感じでしたか。何十年も前にオランダのスキポール空港に着いたのが私にとって初体験でした。とても印象に残ったことは、通関のおじさんがウィンクして迎えてくれたことと、荷物の検査がなく、素通しだったことです。「なんだ、こんなんか」と拍子抜けしたものでした。

海外の空港では、飛行機から出た瞬間に大勢の人に出会います。中には、お年寄りなどで、ゲートまでお出迎えの人が来ている場合もあります。関空だとどうでしょう?国際線の到着ゲートには係員のほかは誰もいません。みな無言でモノレールへと突進します。パスポートチェック、手荷物検査を済ませ、「中を見てはいけません」と張り紙された門をくぐりぬけなければ、自由はないのです。

当然のことながら、お年寄りの一人旅で、日本語が不自由な場合でも容赦ありません。とにかく通関をすませなければ、知り合いと会うことすらできません。日本の国際空港では、出発客と到着客が別々のルートを通るようになっています。多分、法務局の都合による法令でもあるのでしょうが、この「決まり」が国際化を妨げる大きな原因になっています。

理由その1。不安な一人旅客に優しくないこと。たとえば香港では、国際線のゲートにお出迎えのサービスを派遣することが可能です。リムジンを頼んでおけば、係員はゲートで出迎えてくれ、通関場所、車へと案内してくれます。お年寄りや子供の一人旅でもOKです。関空だとどうでしょうか。とにかく独力で通関を済まさなければなりません。これでは、海外からのお客さんをお迎えするというスタンスではありませんね。

理由その2。こっちのほうがもっと大きいかもしれませんが、このシステムにより、空港をどうしてもハブ化できないのです。ハブ空港では、次の飛行機待ちが数時間、時に数日に及ぶこともあります。その間いかに快適に過ごせるかが、ハブ空港の課題です。

通関を済ませた後のスペースでは免税店、飛行機会社のラウンジ、レストラン、マッサージなどなど、多様なサービスを提供できます。この施設を出発、到着の両者で共有出来てこそ、ハブ空港となるわけで、両者を決して交わらせないという硬い決意でもありそうな、日本の国際空港では、始めから勝負にならないのです。

これでもハブになると勘違いしたのか、空港島には日航ホテル、対岸には全日空ホテル、堺にはリーガロイヤルホテルが開業しましたが、閑古鳥が鳴いてしまい、リーガ堺は終に閉鎖の憂き目にあいました(本年10月より香港資本による別ホテルに交代)。

また、車で関空に出向いたとしましょう。出発便が〜航空とわかっていても、はたしてどの入口から入ったらよいのか、さっぱりわからないようになっています。全日空なら手前、日航なら後ろとか知っているのは何度も使っているからで、初めてのお客さん、まして海外の客にはチンプンカンプンです。

アメリカなどでレンタカーを借りて空港へ向かいますと、○○航空はこちら、××航空はあちらと、道路標識があり、それに従って運転すれば到着するようになっています。このあたり関空はとても不親切ですね。空港へ車でアクセスする人への配慮がまったくありません。

とにかく、関空にはもっともっとユーザーフレンドリーになってもらって、大きく成長し、関西の観光産業の発展に寄与していただきたいと、心から願っています。このままだと、インチョン、ホンコン、チャンギに追いつくのは夢のまた夢でしょう。

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