これからの緑内障の薬

木曜日は先々週から2週続けて、今年発売される緑内障点眼薬の合剤について書きました。
今日は今後の新薬について書いてみます。
次なる緑内障点眼として期待されているのはROCK阻害薬というものです。最近はやりの分子標的治療のひとつで、私の大学病院在籍時の研究分野でした。分子標的治療とは、病気にかかわる分子をターゲットにした治療であり、加齢性黄斑変性症で使っているルセンティス(3/11のブログ参照)もその一つです。
この分野はとくに癌の治療への応用が盛んに研究されていますが、眼科領域への応用も見逃せません。ROCK阻害薬は、既存の緑内障治療薬とは全く異なる機序で眼圧を下げるとされているので、臨床応用できれば画期的な薬になるかもしれません。私の実験でも、ROCK阻害薬をウサギに点眼すると素晴らしく眼圧が下がっていました(*1)。ヒトでの治験も進行中(*2)なので、数年後には登場することを期待しています。
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参考文献
*1)Fukunaga T et al "The Effect of the Rho-Associated Protein Kinase Inhibitor, HA-1077, in the Rabbit Ocular Hypertension Model Induced by Water Loading"(Curr Eye Res. 2009)
*2)Tanihara H et al "Intraocular pressure-lowering effects and safety of topical administration of a selective ROCK inhibitor, SNJ-1656, in healthy volunteers."(Arch Ophthalmol. 2008)