今年2010年ははショパン(1810〜1849)の生誕200年にあたります。それに合わせて、ショパンのCDが録音されたり、再発されることが多くなりました。この機会によいCDは購入しておかないと、早晩、手に入れるのが困難になってくるでしょう。
そう思ってHMVやタワレコのサイトをあさっていると、もうすでに、過去の多くの名盤が廃盤となっています。今からでも遅すぎるきらいすらあるのです。
もちろん、ホロヴィッツ、ルービンシュタインといった大物のCDは未だ健在です。彼らのショパン演奏も見事ですが、もっと録音がよいもので、素晴らしい演奏もたくさんあります。
ショパンはポーランドに生まれましたが、民族としてはフランス人であり、生涯のほとんどをパリで過ごしました。ショパン節というものがあるとすれば、それはフランス人に受け継がれている可能性が高いのです。
その意味で最も有名な過去の演奏家はアルフレッド・コルトーで、ついでサンソン・フランソワがいます。どちらも、ショパン作品のLP,CDをたくさん遺してくれています。ただ、どちらも1960年代以前と古い録音ばかりで、現代のCD録音の華となるには古すぎます。
ショパンコンクールに優勝して有名なアルゲリッチ、ポリーニはどちらもフランス人ではありません。見事な演奏家ではあるものの、ショパンのエスプリを表現しているとは思えません。
アシュケナージ、バレンボイムなどのユダヤ人演奏家も同様です。
そんな中、ショパンの精神を見事に表現できる現代の演奏家として、シプリアン・カツァリス(Cyprien Katsaris)を推薦いたします。彼のショパンは結構たくさんCDに録音されていますが、多くはすでに廃盤となっているのが残念です。
上の写真の左はバラード、スケルツォ集、右は没後150年記念カーネギーホールリサイタル(ライブ録音)です。
ショパンはポリーニのように楽譜を正確に音として表現するだけではたりません。適切な強弱によるメロディーラインの強調、内声部に対する配慮、曲によって異なるリズム、また、時として楽譜にない音を付け加える勇気も必要になってくるでしょう。
カツァリスの演奏は、ショパンの精神を見事に表現しています。
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