iStent (アイステント)

iStent(アイステント)は、緑内障の手術的治療に用いるデバイス(眼内留置器具)で、白内障との同時手術に限り保険収載されています。

 

ごくごく小さなものですが、形としては蒸気機関車のようです。

 

房水が流出する部分の抵抗を下げるのが目的ですので、隅角部のトラベクルムという部位に、隅角鏡で観察しながら差し込みます。白内障手術を終えた後に、引き続き行います。差し込むだけですので時間の増加はわずかです。

 

今はやりのMIGS(Minimally Invasive Glaucoma Surgery)の一種です。トラベクルムを切開する他の方法に比べ、出血が最小限で済むのが特長で、術直後の視力が気になる患者さんにとって、優れた方法です。

 

効果は最近の学術雑誌で報告されている通り、白内障単独手術よりも確実に眼圧を下げることができますが、より大きく切開する方法(谷戸式ロトミー)や濾過手術ほどではありません。

 

バイスを用いたMIGSは、海外ではiStent以外にも多く導入されつつありますが、日本では今の所iStentのみ保険収載されているに過ぎません。

 

谷戸式ロトミーやカフークデュアルブレードとどう使い分けるかは、緑内障の進行度やタイプ、点眼薬の効果などを考慮しつつ慎重に判断します。

 

いずれにしても、白内障手術は普通一回限りですので、緑内障の患者さんにとって、白内障手術の機会があればそれを有効に使い、MIGSを併用すべきでしょう。

 

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