実家のピアノ室

私はピアノ演奏が趣味で、時間があればいつでも弾いていたい気持ちがあります。ところがご存知のようにピアノの音はとてもうるさいです。大きな音量がする。普通の家で演奏しようものなら、近所の人や家人に大いなる迷惑をかけてしまいます。実は、子供の頃、狭い家に置いてあったアップライトピアノで練習を始めたのですが、姉弟で競って弾くものですから、近所からの苦情が絶えませんでした。

 

「誰にも邪魔されず、ゆっくり演奏したい」との長年の希望を初めて叶えたのは、母が1979年に郊外の一戸建てを建てた時です。ここでは家の中央に12畳のピアノ室があり、家の外にほとんど音が漏れないように防音が施されています。この家は母が亡くなった後も、折に触れ使えるように手入れを欠かしませんでした。今住んでいる家から程近く、車で5分の距離にあります。自宅にもピアノ室がありますが、実家ほどの広さはありません。

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ここで私を見張っているのはピアノ音楽にとって最も大切な作曲家達です。すなわち、右からベートーベン、ショパン、リスト、ラフマニノフです。


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ベートーベンの頃に現代ピアノにつながるダンパーペダル(右ペダル)が開発されたので、ベートーベンのソナタ14番「月光ソナタ」ではこのペダルの使用が指定されています。ペダルが開発されたことにより、和音による旋律の演奏が可能になりました。たとえば熱情ソナタの2楽章などです。ベートーベンは現代ピアノのための作曲家第一号と言えます。

 

ショパンとリストはほぼ同世代で、二人とも現代ピアノシーンにおけるレパートリーの中心にあります。芸術性もさることながら、ピアノの表現力を飛躍的に高め、ピアノ演奏だけを目的とする『ピアニスト』の存在を確立したのでした。いわゆる「ピアノリサイタル」を始めたのも彼らです。ショパンの曲をちゃんと弾けるということとピアノがちゃんと弾けるということはほぼ同義であり、だからこそ、ショパンコンクールが最も権威あるピアノコンクールになっているのです。

 

ラフマニノフは現代ピアノ(スタインウェイなど)が確立した後の作曲家の中で最もポピュラーです。というのも、無理のないピアノ技巧で弾ける、華々しくも心を打つ曲をたくさん書いたからです。

 

ちなみに本宅の6畳の音楽室にはモーツァルトシューベルト肖像画を架けてあります。この6名の巨人だけで、生涯ピアノ音楽を楽しむことができます。

 

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