EDOF IOL、アイハンス

EDOFとはextended depth of focusの省略で、焦点深度を膨らませることを言います。眼内レンズの一部でこのような性能を持たせているものがあります。

 

一般的に光学レンズはピントの合う範囲が決まっています。たとえば、1mの距離にピントを合わせた場合、ピントの合う範囲が70cmから1.5mになるといった具合です。ピントの合う範囲はレンズの光学特性、絞りにより影響されます。

 

ヒトの眼の絞りは虹彩ですので、瞳孔の大きさが変化することにより、レンズ(角膜および水晶体)のピントの合う範囲も変化します。明るいところでは瞳が小さくなり、明視域が拡がります。

 

最近発売された単焦点IOLのアイハンス(AMO)は、IOL中央の凸面を膨らませることにより深度を広げたEDOFレンズです。このレンズの元となった単焦点テクニスは正の球面収差を補正する非球面レンズでした。この特性をさらに進めて「高度非球面」をうたっています。

 

角膜は正の球面収差を持つのが普通であり、中央部が周辺部よりも平坦になっています。アイハンスはそれの逆で、負の球面収差が強いことになります。深度の広がりはほぼ0.5Dの加入に匹敵するそうです。50cmの距離で10cm、2mの距離では70cmの広がりですので、かなり効果的と思われます。

 

EDOFレンズは3焦点や2焦点の多焦点レンズほどの深度はありませんが、ハロやグレアなどの自覚は少なく、コントラスト感度も単焦点並み(に優れている)とされています。アイハンスは保険診療で使用できますので余分な費用がかかりません。

 

保険診療のEDOFは他にレンティス コンフォート(参天)がありますが、こちらは屈折型です。瞳の中で異なる屈折のレンズを組み合わせている構造です。また、回折型のEDOFがシンフォニー(AMO)です。これは選定療養に入っており、extra costがかかります。

 

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