前眼部OCT CASIA2

当院では前眼部OCTの良さにいち早く注目し、最初は当時のツアイスの後眼部OCTにアタッチメントを付けて測定し、ついで、前眼部OCT専用機として世界に先駆けて販売されたトーメーのカシア1000を5年程前に導入しました。そして先日、カシアの改良型CASIA2が出ましたので、カシア1000を下取りに出して、当院として3世代目の最新型前眼部OCTとして購入いたしました。

「それほど普及していない器械になぜそれほどこだわる?」との声が聞こえてきそうですね。この器械の良さは使ってみなければ判りません。

最も重宝しているのは、これ一発でレーシックの適応検査が完了することです。角膜形状マップ、角膜厚マップが瞬時に測定できます。また、その値が光学式のものよりも正確で信用置けます。角膜の濁りがあっても正確に厚みが測定されるからです。

白内障の術前検査では隅角の形状解析が威力を発揮します。閉塞隅角が一発で判るので、患者さんへの説明がとても簡単になり、手術を決断していただく動機にもなります。白内障手術で隅角が解放され、閉塞隅角緑内障の治療効果は絶大ですが、術前後の前眼部OCTですぐに理解できます。

角膜の濁りを測定できますので、レーシック後や角膜変性の診断にも欠かすことができません。後者の場合、濁りが表面からどれくらいの深さに広がっているかを測定することにより、治療的レーザー角膜切削(PTK)がより正確に行なえます。

CASIA2では水晶体の前面のみならず後面の曲率も測定できるようになりました。これにより、眼のレンズの構成要素のすべてを測定できますので、光線追跡法による眼内レンズ度数決定がより正確に行なえそうです(これは今後の研究課題です)。

また、虹彩紋理のみならず結膜血管もきれいに描出されますので、乱視軸の決定がより簡単になりました。CASIA2の測定データーをプリントアウトすれば手術中の軸決めが簡単に行なえます。しかもこの値は角膜後面も考慮にいれた「real値」です。術中に乱視軸を測定するサージカルケラトよりもある意味優れています。

さっそく、多焦点IOL挿入時の乱視矯正に威力を発揮しています。

IOLマスター700、スウェプトソース(後眼部)OCTと並んで、現代版眼科3種の神器と言えそうです。これらはすべて「スウェプトソースOCT」の技術で作られています。SS3兄弟といったところでしょうか。

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