エクスプレス

緑内障に対する濾過手術のデバイス、エクスプレス(アルコン)が昨年春保険適用になりましたので、当院でも時々使っています。緑内障とは眼圧が上がることにより視神経が圧迫され、視野傷害、視力障害をきたす疾患で、一度悪化した神経は再生しないため、早め早めの手当が必要になります。

点眼薬のみでコントロール出来る症例が大多数ですが、どうしても神経障害が進んでしまう症例に対しては、手術加療を行います。手術方法もいろいろと試されていますが、最も確実な方法が濾過手術(トラベクレクトミー)であり、エクスプレスを用いるとより安全確実な濾過が可能になります。

エクスプレスを用いますと、漏出量をいかにコントロールするかに手術の焦点がしぼられます。

術後、眼圧が下がりすぎますと、脈絡膜剥離や低眼圧黄斑症になり、視力が低下いたします。エクスプレスを用いたレクトミーではどちらかというと下がりすぎる傾向があるため、フラップはやや厚く作り、縫合糸もきっちりと5糸くらいはかける必要があります。

フラップの厚さを一定にするため、当院では0.3mmのステップナイフを用いています。

術後、縫合糸を切断したり、再縫合することにより、適切な眼圧値に修正することも可能です。

ST