洗眼

早くも7月になりました。すでにプールが始まっている学校が多いと思います。
私が子供の頃は、プールの後は水道水でジャブジャブ目を洗うように教えられましたが、10年前に眼科医になってからは「あまりお勧めできないのでは...」と感じていました。
多くの眼科医が同様に思っていたはずですが、これを実証するとなると意外と難しいもので、結局学校ではそのまま洗眼が続けられていました。
この眼科医たちのジレンマをようやく解消してくれたのが、一昨年の慶大からの発表です。ニュースにもなったのでご存知の方も多いかと思います。

 毎日新聞  2008/2/21
 (抜粋記事)
塩素消毒したプールで泳いだ後に水道水で目を洗うと塩素で角膜が傷ついた目の表面の粘液が洗い流されてしまうことが、坪田一男・ 慶応大教授(眼科)らの研究で分かった。厚生労働省文部科学省はプール後の洗眼を呼び掛けているが、 逆に細菌やウイルスに感染しやすい状況を作っているという。米国の医学雑誌に発表した。 (中略) チームの加藤直子・慶大講師は「プールの中で目を開けるならゴーグルをつけて欲しい。そうでなければ、 プール後の洗眼は避けるべきだ」と話している。

眼科医の誰もが出来そうで出来なかった、意外かつ偉大な研究です。研究のときに何をするかが決まらず悩んだ時期のある私としては、こんな身近なところに研究テーマが存在するという事に気付かされ、目からウロコが落ちる思いでした。
水中で目を開ける練習というのも教育の過程では必要かもしれませんが、通常はなるべくゴーグルを装用してくださいね。
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