「日帰り」硝子体手術

今日は網膜剥離に対する硝子体手術などが行われました。

硝子体手術といえば、日本では入院で行われるのが一般的です。白内障手術に比べ、術後の疼痛があること、術後の体位管理が重要であること、時に安静が必要なことが、入院に向かうベクトルになっています。

しかしながら海外では、硝子体手術といっても、日帰りで行われるのが一般的です。(白内障手術は言わずもがな)。

日帰りのメリットはまず、医療費が安くつくことです。医療費といえば税金を含んだ公的なお金ですから、無駄遣いをなくすのが当然です。同じ結果であれば、より安く、経済的な方法を採るのがあたりまえではないでしょうか。

今ほど国の債務が積みあがった状態では、なおさらのことですね。

メリットその2は、仕事、日常生活をなるべく普段のままで治療が受けられることです。もちろん、白内障のように、術直後からほぼ回復というわけにはまいりません。しかし、うつむきの体位のままでも、たとえばトイレには自分で行けますし、電話などで仕事に関わることも可能です。

硝子体手術といっても、混濁や膜を除去するだけというものもあります。これならば、基本的に白内障手術と変わりありませんので、日帰りでも全く問題ありません。

10年前は当院でも、硝子体手術のあと、近所の病院に入院させることもありました。しかし最近は、術後に入院させることもなくなってしまいました。

この4月から硝子体手術の保険点数が30%程度引き上げられています。これは、「勤務医の労働環境を改善する」目的で行われたものですので、行政としては、硝子体手術や角膜移植手術が日帰りということは考えていないのかもしれません。硝子体手術→入院→病院(有床の医療機関)→勤務医優遇という流れです。

しかし、だからといって、硝子体手術の日帰り化に反対するというのは、本末転倒です。

事大主義に陥ることなく、患者さん本位の医療を続けてゆきたいと思っています。


ST