角膜内皮

角膜内皮とは黒目の表面の膜の内側にある細胞のことで、これが少なくなると角膜が濁る原因になります。これを水胞性角膜症といいます。

内眼手術により内皮細胞数が減少することがあり、そうなると手術が原因で角膜が濁ることになり、手術前にそんな可能性があれば手術を見合わせるということになります。

最近の報告で、近視矯正手術のLASIKPRKでは、臨床的に問題となるほどの角膜内皮減少はないことが明らかになっています。したがって、近視矯正手術の術前に角膜内皮細胞数についてそれほど神経質になることはありません。

白内障手術については、手術前の角膜内皮数が1平方ミリあたり1000個を切ると危険と言われてきました。しかし、これについても、最近の手術の進歩、つまり、手術時間の短縮、術中の内皮保護剤(粘弾性物質ビスコートなど)の普及、さらには極小切開による灌流量の減少などで、安全性は増してきており、1000で手術をあきらめる必要はなくなってきています。

今週行った症例の中には、1平方ミリあたり600個の方がおられました。通常の方法に加え、ビスコート(アルコン)を使用することにより、術後の角膜混濁は全く見られませんでした。

水胞性角膜症の原因として一番多いのは、レーザーによる周辺部虹彩切除(LI)です。LI後に内皮が減少してきている症例では、早急に白内障手術を行い、内皮減少をストップさせなければなりません。

いわば、肉を切らせて骨を切るということになりますが、臨床ではよくあることですね。

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