眼内レンズの色

今日は眼内レンズ(IOL)の色について書きます。IOLはUVカットフィルターが入っているほか、着色しているものもあります。メガネのレンズほどの種類はもちろんありませんが、同じことです。

 

ヒトの水晶体は加齢とともに若干色づき、核白内障の場合、相当黄色っぽくなっています。もっと進行すると、赤銅色になることもあります。一方、真っ白に濁ることもあり、着色は様々なものの、若い頃から色は変化していきます。

 

この色の変化が病的ではなく、加齢に伴った合理的変化と考えることも出来ます。加齢により網膜の光に対する耐性が低下するので、特に有害なブルーライトをブロックするため、黄色っぽく変化しているのかもしれません。

 

加齢に伴う網膜の病気は加齢黄斑変性がその代表です。黄斑部に浮腫や出血を来たし、失明することもあります。

 

ブルーライトをブロックするのがこの病気の予防に良いとの考えで、黄色っぽく着色されたIOLがあり、標準的に用いられています。

 

しかし、着色IOLでは、若い頃の鮮やかなブルーは見ることが出来ません。黒と濃紺の区別もややつけにくいです。

 

また、ブルーライトカットにより、太陽光の一部が制限され、サーカディアンリズムが影響を受けるとの報告もあります。日中に豊富な太陽光を浴びることが、睡眠の元であり、認知症も予防できるとの考えです。

 

着色レンズは良い点もそうでない点もあるのですね。先日来られた患者さんは、デザイナーで未だに現役だとか。CADで色の細かい区別をしているらしい。こんな場合は、無着色のIOLを選択するのもありです。

 

同じIOLで、着色、非着色のどちらも提供されることが少ないのは残念です。

 

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