眼内レンズの選択

最近はネット社会だからか、患者さんも受診前にいろいろと情報を仕入れてこられます。特に、眼内レンズについて、「このレンズはどうですか?」といった、具体的な質問もあり、答えに窮することもあります。

1990年代によく使われた一体型のPMMAレンズ、95年頃流行った折り畳み型シリコンレンズ、2000年頃の折り畳み型アクリル3ピースレンズなどは姿を消し、現在はアクリル製の一体型折り畳みレンズが主流です。

現行のレンズは2.2mm幅の狭い切開創から挿入可能ということが「売り」で、もちろん、乱視を出しにくいこと、自己閉鎖が簡単なことなど利点もありますが、狭いところから押し込めるレンズということで、失ったこともあると思います。

そんな中、眼科医は患者さんの利益を考えて、日本で使用可能なレンズから慎重に選択します。海外から直接取り寄せることがあるにせよ、例外的です。その場合、メーカーと直接連絡が取り合えることが条件で、海外で実績があるからといって、簡単に輸入して使用可能ということはありません。

また、そもそもメーカーの主張を鵜呑みにしてレンズを選択することがあってはなりません。われわれの世界では、正統な学術誌(ピアレビュー ジャーナル)で検討された結果でなければ信用されません(それすら全て信用できる訳ではありません)。

ネットで氾濫しているレンズ、器械の宣伝文句のほとんどが、メーカーの主張をそのまま受け入れたものです。

新しいレンズや手術器械、手術方法の評価が確定するには数年かかるのが普通です。

あれこれとレンズの選択で迷うよりは、きっちりとした手術をすることのほうがよほど大切です。

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