爪はがし事件とフットケア

昨日、爪はがし事件についての報道がありました。犯人はストレスがたまって高齢者の爪を剥がしたという悪質な動機であり、しかも今回は2004年に続いての再犯ということできっちり実刑判決が出ています。
この事件と混同してはならないのが、フットケアの冤罪事件です。(参考:日本看護協会の見解(PDFファイル)]))
こちらは2007年に北九州市の看護師さんが爪白癬(つまり水虫)に対するフットケアとして爪を切ったところ、逮捕されたという事件です。
まさに2004年の爪はがし事件のとばっちりとしか思えないお粗末さではありますが、医療関係者に与えた衝撃は非常に大きかったです。なにしろ正当なはずの医療行為でいったん実刑判決まで出てしまったのですから。逮捕から100日以上も拘留され、無罪を勝ち取るまでに3年以上を費やしています。
2007年当時はまだフットケアが広く認知されておらず、素人から見ればまさに爪をはがして虐待しているようにしか見えなかったようです。
医療報酬もなく、現場の方々の少しでも患者さんを良い状態にしたいとの思いによる善意の行為です。
これが犯罪になってしまうのであれば、もはや医療は成り立ちません。
せめてフットケアが医療行為として診療報酬が認定されていればこんな事態には至らなかったかも知れませんが、制度が現状に追いつかないうえに国の医療費抑制策も壁として立ちはだかります。
他にも、2006年の「大野病院事件」はさらに衝撃が大きかったです。
これらは医療の世界に「萎縮医療」の風潮を招いてしまった一因です。これではますます患者さんのためになりません。
これからはインターネットの普及やマスコミの報道姿勢の変化により、正しい知識が広まって医療が良い方向に向かっていくと信じています。
Ft