Brucke's Muscle

今日も白内障手術が行われます。

昨日書いたemmetropizationには昔から興味があって、いろいろと調べたことがあります。近視パラドックスにせよ「遠視パラドックス」(こちらは小生の造語です、多分)にせよ、まず、眼軸の変化があり、それを矯正する方向に屈折因子が変化いたします。

成長期は眼軸が伸び、近視化するのを防ぐ方向で角膜は扁平化、水晶体は薄くなります。老化ではその逆です。

水晶体の厚みが変わるのは、一般的な調節作用で何んとなく理解できますが、角膜の曲率が変わるとはどういう機構が関与するのでしょうか。

実は、人間では水晶体の変形が調節に作用しているとされていますが、水晶体の前後方向の動きや(タコ)、角膜曲率の変化(トリ)による調節も他動物ではあります。成長や老化に合わせた屈折因子(角膜、水晶体)の変形は、そのなごりとも考えられます。

毛様帯について書かれたテキストをみると、毛様筋は3種類あり、もっとも大きな筋肉は角膜岬から発して赤道部の脈絡膜〜強膜で終わる、前後方向の繊維であるとされています(図)

この筋肉はブリュッケの筋肉と呼ばれます。ここからは推測ですが、この筋肉が収縮すると、角膜の周辺部を奥へとひっぱりますので、角膜曲率が大きくなります。よって、屈折力がアップします。

若い水晶体のような瞬時の作用ではないにせよ、長時間かけて変形させている可能性は否定できません。また、LASIKのあとなど、角膜が極度に薄く、弱くなった状態で、曲率の変化が観察できたとの報告もあります。

小さな小さな器官である眼についても、まだまだわからないことがいっぱいあります。

ST