白内障の成因ーその2

昨日、今日と白内障手術を行いました。40例くらいのうち、多焦点は1例でしたが、トーリック(乱視矯正レンズ)は4眼くらいに使用しました。

これらの付加価値レンズのうち、トーリックはいわば失うもののないIOLです。その点多焦点IOLは医師にとっても患者さんにとっても難しいレンズです。

他院で多焦点IOLを挿入された方が当院へセカンドオピニオンを求めて来院されることも多いです。大抵は「思ったより見にくい」との訴えです。手術が全く問題なく行われているのに結果がそれではやりきれませんね。

原因はいくつかありますが、最も多いのが残余屈折異常です。乱視や遠視、近視が残ることにより、裸眼視力が悪くなるのは当然のことですが、多焦点の場合その「裸眼視力」が求められていますので、不満の原因になるのです。

度数交換、LASIKによるタッチアップなど、方法はありますが、一度悪い印象が植え付けられますと医療不信ともなり、なかなか次のステップに進むことが出来ません。

片眼挿入で多焦点IOLに不満の場合、もう片眼を単焦点にするのもひとつの方法です。これは、モノビジョンということになりますが、たとえば多焦点挿入での近方視が不満の場合は、もう片眼を単焦点で近くを狙うことにより、多焦点両眼挿入よりは近方視力がアップいたします。

昨日の続きですが、白内障ではあと、後嚢下混濁というのがあります。後ろの膜の直前が濁るタイプで、これは、房水の浸透圧が影響しているとされています。糖尿病性白内障に典型的な濁りです。一時アルドース還元酵素阻害剤の効果が期待されたことがありましたが、最近はあまり話題にならなくなってしまいました。やはり、白内障を薬で治すというのは、とても難しいことと思います。

前嚢混濁というのもあります。アトピー性皮膚炎に伴う白内障で、前嚢のくさび状の混濁が特徴的です。実際の成因はわかりません。

まあ、わかっているようでいて、白内障緑内障の根本の原因は不明としか言いようがありません。「緑内障でなぜ神経がやられるのですか」といわれれば、「眼圧が高いから」というだけではなく「神経が弱いから」ということになりますが、それだと答えになっていませんものね。


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