ユゴーの文学

劇団四季が京都で「ノートルダムの鐘」を公演することを知り、さっそくチケットを購入しました。公演を見るのは3月下旬ですが、その前に原作、ヴィクトール ユゴー著「ノートルダム ド パリ(パリのノートルダム寺院)」を読んでおこうと思い、1週間くらいかかって読破しました。

 

若い頃は古典文学が好きで、いろんな名作を読みふけりました。ドストエフスキーユゴーバルザック、デュマ、スタンダールなど、19世紀の作品です。19世紀はじめといえば、シューベルトベートーヴェン(後期)、ショパンが活躍した時代であり、これらの音楽に親しんでいる関係で、この時代の文学、哲学、詩歌にも興味があるのです。

 

なんと言っても、その時代の雰囲気、考えが直接述べられているのが興味深いですね。ユゴーの場合、ルネサンス宗教改革フランス革命、ナポレオンと続くヨーロッパの歴史の生き証人でもあり、どの作品にも後世の解釈から超絶した生々しさが感じられます。

 

たとえば、「九十三年」という作品では、フランス革命の実情があざやかに描かれています。王が断頭台にかけられた後、革命の首謀者もつぎつぎと処刑される運命になったこと、地方で内戦が続いたことやその理由などがわかります。

 

ユゴーが生きた19世紀前半は革命からたったの30年しか経過しておりませんでした。現在からの振り返りでは、東西冷戦終了の頃です。われわれがベルリンの壁崩壊、バブル崩壊、ニューヨーク同時多発テロリーマンショック、コロナ禍、ウクライナ戦争と続くその後の流れをよく記憶しているように、ユゴーフランス革命とその後の事件を当事者感覚で詳述できました。

 

200年経過してなお読者を唸らせる筆致はさすがに文豪とよばれるだけのことはありますね。

 

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