円安

いつも通る百貨店の時計売り場。特に人気のRolexは予約がないと店にも入れません。ところが最近よ~く見ると、ショーウィンドウに時計が入っていないではありませんか。エンプティ。これでは商売できませんね。他の店でも事情は同じで、Patek Philippeなど1本もなく、カフスボタンが並べてありました。

 

ネット情報では、世界的な需要の高まりにより(高級時計が売れている)生産が追い付かないからとの解説がありましたが、本当ですかね。

 

毎週通るので知ってますが、春先には豊富な在庫がありました。ここ数カ月で在庫が掃けたとは考えられないのです。これは推測になりますが、3月以降の急激な円安(1ドル110円→135円、2割以上の減額)が影響していると思われます。

 

世界共通の財貨である高級時計は、世界中のどこでも売れます。しかし、時価ではありませんので、価格は1年に1度程度に見直しです。1ドル110円のつもりでつけた価格(日本円)で商売すると、グローバルから見たら赤字になりかねません。ドル建てで2割以上も安くなっているからです。

 

日本の店の在庫を引き上げ、海外の店舗へ移したと考えるのが自然でしょう。

 

円安の影響はガソリンや電気代など資源価格の上昇で現れています。これらはドル建ての価格がすぐに反映される商品です。一方、時計や貴金属、ブランド品など、すぐには価格を変えられない商品については、在庫を引き上げるということが行われる可能性があります。日本で手に入りにくくなるのです。

 

困ったことですが、これは行き過ぎた円安が直らないことには改善されません。貴金属は買わなければ済みますが、これが医、衣、食、住に及ぶと日常生活が大きく影響を受けかねません。

 

われわれの分野では、以前書いたように、屈折矯正手術LASIKに必要な混合ガスが入手困難になっています。また、一部のメーカーの眼内レンズに欠品が生じています。更には、7月以降、多数のメーカーが検査機器、手術用器械の値上げを予定しています。行き過ぎると、診療や手術の継続が困難になります。と申しますのも、保険診療では仕入原価の上昇があっても価格に転嫁できないからです。

 

思い返せば1960~70年代、 ハワイ旅行に「夢の」と枕詞がついていました。1980年代でも留学して海外で給料をいただくと、お金持ちになった気分がしたものです。当時の為替レートは1ドル230円くらい。

 

今の円安がこのまま進むと、「あこがれの海外旅行」の時代が再現されることでしょう。

 

ST