寒暖差で起こる眼疾患

最近の気候の特徴は「1日における寒暖差」。最低気温と最高気温の差が15°Cに達することもありますね。こんな時眼科では硝子体関連の疾患が増えます。寒暖の差で硝子体が収縮し、硝子体剥離を起こしやすくなるからです。

 

もっとも軽症なところでは、生理的飛蚊症があります。硝子体剥離に伴い、乳頭付着部からはずれた輪状の混濁を自覚し、虫が飛んでいるような錯覚を覚えるのです。これは誰でも一生に一度は起こるもので、そういう意味では確かに生理的です。

 

硝子体は後極部で剥離するものの、周辺部では強固にくっついておりますので、硝子体剥離に伴いこのあたりの網膜が引っ張られると、網膜に裂孔ができることがあります。これが網膜剥離の原因になります。裂孔を見つけたら予防的なレーザー凝固が必要で、剥離に至っておれば速やかな手術が必要です(いずれも保険適応)。

 

硝子体剥離に引き続き、誰でもが裂孔を来すことではありません。網膜に孔が開く人は前提としてもともと周辺部に変性を持っています。変性の有病率は5%くらいです。そのうちのまた一部で裂孔の危険があるというわけです。飛蚊症を自覚したら、詳しい眼底検査を行なってもらって、周辺部に裂孔が生じていないか確認してもらった方が良いです。

 

飛蚊症だけならば視力には影響ありませんが、精神的に苦痛ということがあり、治療の対象となることがあります。飛蚊症レーザーまたは硝子体手術で治療します。どちらも自費診療です。

 

糖尿病や網膜静脈閉塞症で網膜に新生血管ができることがあります。これは循環障害(血管閉塞)の結果ですが、新生血管は網膜の表面、硝子体との境界に生えますので、硝子体剥離が起こると、その部分から出血し、硝子体出血となることがあります。硝子体手術で治療できます(保険診療)。

 

春から夏にかけて、硝子体手術の症例が増加いたします。

 

ST