電子カルテの良さ

昨年から準備を進め、今年の2月に電子カルテを導入しました。電カルは総合病院では10年以上前から導入が進んでいます。これは、病院の機能評価に電カルが入っているからです。一般診療所ではそのようなインセンティブがありませんので、延ばし延ばしにしていました。

 

といいますのも、知り合いや後輩の開業仲間から「導入は大変やからもう先生やめとき、息子さんにさせはったら」という声を聞いていたからです。しかし、色々と検討した結果、思い切って導入することにしたのが一昨年のことでした。

 

何が大変かといいますと、紙カルテから電カルへの移行が大変とされています。すでに多くの患者さんのアナログデータがあり、電カルに移行したとたんに、それを移さなければなりません。導入後数カ月は泣きそうになると脅されてました。

 

患者さんが比較的少ない時期を選んで導入したわけですが、今回はそれにコロナが重なったおかげで、夏までにゆっくりと移行させることができました。今は、紙カルテを併用することがほとんどなくなりました。

 

電カルに慣れてくるにつれて徐々に良さが理解され、電カルにしてよかったとつくづく実感します。良い点を数え上げればきりがありませんが、まずはカルテをどこででも見れて、各々の職員が共有できるのが大きいです。

 

始めてこられた患者さんでは、検査のオーダーを出さなくてはなりませんが、電カルだとあちこちからできますので、患者さんをお待たせすることがありません。

 

私が「無散瞳3種の神器」と呼んでいる、前眼部OCT「カシア2」、広角眼底カメラ「デイトナ」、後眼部SSOCT「トリトン」により、無散瞳で詳しい検査ができますので、初診時に手術の決定まで無散瞳で行うことも可能です。これらの検査データを診察前に検討して、更に詳しい検査をオーダーできるのも利点です。

 

手術予約は電カルの「予約ソフト」がありますので、すべて電カル上で行い、情報を共有できます。紙カルテ時代にノートで管理していたのに比べると、大きな進歩です。

 

手術のための詳しいデータ(IOLの種類など)も電カル上ソフトで管理しており、手術当日の順番シートを打ち出したり、急な変更に対処したりします。

 

手術所見はもちろん電カル上にあり、手術別にひな型を作ってあって、入力しやすくしています。

 

診察においても大きく威力を発揮するのが、たとえば緑内障の経過観察です。眼圧および視力の経過をグラフで示してくれるので、治療介入の効果が一目瞭然です。

 

まだまだ書ききれない良さがあります。電カル以前の状態をだんだん忘れつつあります。

 

ST