無散瞳で診断

散瞳とは瞳のおおきさを点眼薬により大きくすることです。交感神経刺激薬や副交感神経遮断薬により瞳は大きくなり、その逆の薬理作用で小さくなります。明るいところでは小さくなり、近くを見るときも小さくなります。

 

散瞳すると、同時に毛様体筋も弛緩します。結果、水晶体は薄くなり、近くが見にくくなり、調節作用が失われます。

 

お薬の作用は半日ほどで取れますが、眼科を受診して散瞳検査をすると、しばらく見にくくなることがあるので、注意が必要です。直後の運転は避けていただいたほうが無難です。

 

昔は眼科で詳しく検査をすること=散瞳検査ということでしたが、最近はそうとも限りません。といいますのも、眼底のOCT検査、広角カメラなど、無散瞳対応だからです。散瞳しなくても、これらの検査により、眼底の詳細が分かります。肉眼で見るよりよほど詳しい情報です。

 

無散瞳で得られる情報が多くなっていますので、初診の患者さんなど、無散瞳のまま診断をつけることが可能になっています。

 

一度散瞳してしまうと、当日のメガネ合わせや視野検査、瞳の検査、屈折検査など、できなくなってしまいますが、無散瞳のままだと次のステップにすぐに進むこともできます。

 

このためには、視力・眼圧測定以外に、前OCT、後OCT、および広角眼底カメラという、現代版眼科3種の神器による検査が必要です。

 

多少の時間はかかりますが、正確な診断のために欠かせない検査ですので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 

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