ブリューゲル「バベルの塔」展

現在、中之島にある国立国際美術館にてブリューゲルバベルの塔」展が行われています。

バベルの塔」は一度は耳にしたことが、ある方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
ピーテル・ブリューゲル1世は1563年と1568年にバベルの塔の絵を制作しており、今回は1568年の作品が24年ぶりに来日しています。
普段はボイマンス美術館(オランダのロッテルダム)に所蔵されており、中々見る機会がありません。


ブリューゲルは16世紀のブラバント公国(現在のオランダ)の画家で、ネーデルラント絵画の巨匠と言われています。
ネーデルラント絵画とは、北方ルネサンスといわれる15〜16世紀の美術のうち、
 独立以前のベルギー、オランダの地域に展開した美術の事です。)

私は美術館に行くのが結構好きなのですが、ついつい教科書に出てくるような有名な絵を見に行きたくなります。
その時に作品背景を知っていると、より楽しめるので少し説明させてください。


バベルの塔旧約聖書の創世期の中に出てくる塔です。この塔をモチーフに他の画家も作品制作をしています。
色々な解釈はあるのですが、ノアの大洪水以降、バビロニアの平原に住んでいた人々は天にも届く塔を建てて、
町を有名にしようとしました。
神に対する畏れを失った人々に怒った神は、世界に一つだった言語をばらばらにさせて、意思の疎通を出来なくさせました。
その結果人々は意思疎通が出来なくなり、塔は完成しなかったという話があります。
そのため、バベルの塔は人類の傲慢の象徴とも言われています。


絵画のバベルの塔を現実の縮尺に当てはめると、高さ510mとかなり巨大です。
周りの人々や家、船の大きさを対比してみても巨大なのがわかります。
建築現場には足場や、レンガの上昇させるクレーンなど当時の建築技術、工法がみられます。
また、塔の上部のレンガは明るい色なのに対して、下部のレンガは退色して薄くなっています。
建築にかなりの時間がかかっているのを表しているそうです。
また、バベルの塔の外観は旧約聖書の中では表されておらず、ブリューゲルは若いころに訪れたイタリアの
古代ローマ円形闘技場コロッセオをモチーフにしたと言われています。


有名な絵でも、無名な絵では、美術作品は好きなように鑑賞したり解釈するので良いと思うのですが、
作品背景を知ると、いつもと違った絵の魅力に気づきます。
夏の暑い日は、涼しい美術館で過ごすのがおススメです。
興味があるかたは、10月15日まで見ることが出来るので一度足を運んでみては如何でしょうか。
R.K