マイクロケラトーム

レーシックのフラップを作る方法として、カンナのような器械で一気に作る方法(マイクロケラトーム)とフェムトセカンドレーザーでゆっくり作る方法があります。後者では大きさや深さをほぼ正確に作れることが特長で、今やレーシックの標準的フラップ作成方法になった感がありますが、欠点がないわけではありません。

まず、時間が少し余計にかかること。ケラトームだと2〜3分の操作が何やかやと倍くらいの時間がかかります。次に、眼球を圧迫して固定する時間が長いこと。そのために使用する使い捨ての固定器具がケラトームよりもやや大きく、眼裂の小さい日本人の目に入りにくいことが時々あります。

エネルギーの設定が患者さんの目に合わないと、前房に気泡が生じることがあるのも欠点です。気泡が入ってもエキシマレーザーをあてることはできますが、気泡によりレーザーの追随装置が作動しない恐れもあり、結果に多少の誤差を生む可能性があるのです。

形はとてもきれいなフラップになりますが、炎症はケラトームよりもやや強く出るようです。ステロイドの点眼を使いますので、術後経過にはほとんど差がありません。

一方、機械式ケラトームではフラップがちゃんと出来ないことが稀にあります。この場合手術のやり直しが必要となり、患者さんの印象はとても悪くなってしまいます。

フェムトセカンドだと、吸引をかけることが出来さえすれば、まずフラップが出来ないことはありません。そこがポイントです。

当院では、フェムトセカンドを原則使い、吸引器が入らない場合は機械式ケラトーム(モリアSBK)を使うことにしています。

それでもダメな場合、表層切除(PRK、LASEK、Epi-LASIK)という方法がありますが、視力の立ち上がりが遅くなります。

フェムトセカンドレーザーが先にあり、マイクロケラトームが後で出て来たとしたらどうだったでしょうか。「短時間で奇麗な手術が出来る」と驚いたかもしれません。

海外でも機械式ケラトームがリバイバルしているそうです。

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