タッチアップ

台風一過、今日はずいぶん涼しくなりました。このまま秋も深まりそうです。

振り返れば、多焦点眼内レンズが高度先進医療に認められて以来8年の歳月が流れました。普通、先進医療は評価療養という名の通り、そのうち保険診療に組み込まれるものですが、これほど長く先進医療にとどまっているのも珍しいと思います。

多焦点IOLは術後メガネなしで生活することを目的とした屈折矯正手術のひとつです。メガネやレーシックに保険が使えないのに、多焦点IOLだけOKということは公平ではありませんから、保険が使えないのもやむを得ないと思います。

しかし、高度先進医療に入っているおかげで、民間保険の「先進医療特約」が使えます。最近、この保険特約に加入されている方も増えていますので、多焦点IOLの希望者も少しずつ増える傾向にあります。

多焦点IOLを使って手術したあと、屈折誤差が生じたらどうなるでしょうか。普通の単焦点IOLならばメガネの度数を変えるだけでほとんどOKですが、多焦点IOLでは「術後にメガネなしで生活する」ことを目標としていますので、簡単にメガネに頼るわけには行きません。

そこで、メガネフリーにこだわる患者さんに対しては、レーシックによる追加矯正を行います。これをタッチアップと言います。

過去8年で440眼くらいの多焦点IOL移植術を行いましたが、そのうちの20眼くらいにタッチアップを行っています。数は少ないものの、患者さんにとってはとても重要な手術です。

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