白内障手術の目的

前にもちょっと書いてますように、当院で手術を受けられる患者さんにお渡しする説明用冊子を改定することにし、ようやく完成しました。改定の主な理由は、第一に4月から多焦点が選定療養になって値段が変わったことですが、それ以外にも、術後の生活制限を最小限にしていることなどを反映しています。

 

患者さんによく「そのまま一人で帰れますか」と聞かれます。答えはOKです。白内障手術では点眼麻酔ですので、術直後からそこそこは見えます。術前にお一人で来院された方なら、術後も一人で帰っていただけるのです。術後は眼帯ではなく、こちらで用意したゴーグルをつけていただくのもそのためです。

 

また、白内障手術の目的をはっきりさせることにしました。目的は患者さんによって異なりますので、文章で説明した方が良いからです。以下のような目的があります。

 

1)矯正視力の向上。濁った水晶体を透明なIOLに代えることにより、適切なメガネをかけて測った視力(=矯正視力)が上がります。

 

2)裸眼視力の向上。適切なIOLの度数を選び、乱視も減らすことで、屈折矯正効果が得られますので、裸眼視力が上がります。合わせる度数により、遠方、中間、近くのいずれかが、裸眼でよく見えるようになります。

 

3)老眼の治療。多焦点IOLを使用し、2)の屈折矯正と併用することにより、遠くのみならず、近くも裸眼で見ることができるようになり、結果として、老眼の治療になります。

 

4)狭隅角の改善。隅角が狭く、散瞳薬により眼圧上昇発作の危険がある患者さんでは、白内障手術により、防止することができます。

 

5)POG緑内障)の患者さんでは、眼圧をなるべく下げる必要がありますが、白内障手術の際に緑内障手術を加えることにより、POGのコントロールがし易くなります。低侵襲緑内障手術(MIGS)と言います。

 

6)硝子体混濁、出血、黄斑前膜、黄斑円孔など、中〜高年の方の硝子体手術では、白内障手術を同時に行うのが普通です。

 

通常、上の目的のうち、最低でも一つは該当いたします。時には複数の目的を持っている場合もあります。例えば、硝子体混濁の患者さんに多焦点レンズを挿入する場合では、上記1)2)3)6)が一度の手術で行われることになります。

 

患者さんに目的意識を持っていただくことにより、手術の説明がよりわかり易くなるのではと考えています。

 

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