選定療養の多焦点レンズ

2020年4月から、日本で認可されている多焦点レンズが選定療養に組み込まれたことは、当ブロブで何度か取り上げたところです。しかしその後、コロナ禍が全世界を襲い、多焦点レンズどころではない状態がしばらく続いておりました。

 

ようやく6月に入って、少しずつ旧来の状態に戻りつつあります。もちろん、厳しい感染予防策を行なった上でのことです。6月に入って、白内障手術数がやや回復しつつあり(それでも、以前ほどではありませんが)、多焦点レンズを希望される患者さんもおられます。

 

多焦点レンズは誰にでもお勧めすることはできません。1)社会生活上の必要性、2)矯正視力が出るかどうか、3)性格、4)年齢、5)屈折、などの情報から、「この人なら大丈夫」と判断できて始めてお話しすることになります。その上で予算のことも出てきます。

 

保険との併用が可能になったことで、ご負担いただく金額は従来よりもお安くなっています。それでも片眼15〜33万(+保険診療の自己負担金)は大きな負担です。

 

4月以降、選定療養による多焦点レンズを選択された患者さんの割合は、白内障手術の1〜3割くらいです。これは、もちろん、今年2月、3月の、先進医療保険駆け込み期に比べたら少ないものの、年間300件以上の多焦点を扱った昨年1年間の割合とほぼ同じです。

 

選定療養とはいえ保険適用になったことで、患者さんに安心感が生まれ、お勧めしやすくなりました。単焦点を含め、IOLの特性をよくご理解いただいた上で、各人に合ったレンズをご選択いただけます。

 

今後は、更に普及が進んで行くのではないでしょうか。

 

ST