同時手術の増加

白内障手術は眼科で最も多い手術です。当院でも白内障単独手術のみで年間2000件を超えていたこともあります。しかし、最近は、白内障手術単独ではなく、硝子体や緑内障などの同時手術が増えています。

 

多焦点IOL移植にしても、白内障と同時に老眼の治療を兼ねていますから、内容的には同時手術のようなものです。正式に同時手術とカウントされるわけではありませんが。

 

これは、白内障手術の対象となる60代以上の年齢の患者さんには、もともと、網膜前膜や硝子体混濁などの硝子体疾患、緑内障、そして老眼の有病率が高いという事情があります。

 

老眼は100%、緑内障は10%、網膜前膜は数%と言われています。もちろんこのすべてが手術治療の対象になるわけではないにしても、白内障手術の際にこれらの治療も可能であることは重要です。

 

網膜前膜では、物が歪んで見える変視症があるかないかが手術適応のポイントです。特に糖尿病をお持ちの方では、術後の黄斑浮腫を避けるために前膜があれば除去したほうがベターとなってきます。

 

緑内障は点眼薬でコントロール出来ていることが多いですが、白内障手術の際に少しの操作を加えるだけで、術後眼圧が更に下がるとなると、その機会を逃す手はないと思います。

 

点眼薬の副作用による眼表面の異常が術後の視機能に影響していることが意外に多いからです。特に多焦点IOLでは慎重にならなければなりません。

 

多焦点IOLを挿入した後、「ぼやける」との訴えがある患者さんでは、目薬の使用の有無を確認しなければなりません。緑内障薬の一部、非ステロイド系抗炎症薬には特に注意です。

 

これらの点眼を中止し、ドライアイの目薬のみに変更すると、スッキリ見えるようになることが多いのです。

 

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