網膜剥離

網膜剥離は、眼の奥の網膜が眼球の壁から剥がれることによって、視力障害、視野障害を来たす病気です。放置すると失明につながる重大な病気です。

網膜に円孔や裂孔が生じ、孔から液化した硝子体が入りこむことで網膜が壁から剥離する状態が起こり、徐々に剥離の範囲が拡大していきます。

治療は、年齢や網膜剥離の範囲、場所等で変化し、強膜内陥術、硝子体手術、気体注入術を行いますが、いずれの方法でも、原因となっている円孔や裂孔を閉鎖させる必要があります。広く行われている硝子体手術では、裂孔周囲をレーザーで凝固し、網膜を復位させたあと、医療用ガスを注入します。

ガスの力を利用して、裂孔を閉鎖させますが、再び裂孔が開放しないように、1~2週間前後、裂孔周囲にガスを当てておくことが必要で、そのためにはうつぶせや横向き等の体位制限を要します。裂孔の場所にもよりますが、多くは術後うつぶせを保持する必要があり、これが結構大変です。ずっと同じ姿勢、しかもうつぶせを保持するの苦痛を感じますが、治療のために必要です。

ですが、裂孔を瞬間接着剤のようなもので閉鎖できれば、ガスを注入せずとも閉鎖した状態が持続し、つらいうつぶせ姿勢の保持は不要になります。実際に、ポリエチレングリコール合成吸収性ハイドロゲルを用いた動物の網膜剥離手術では、ガスを注入せずに剥離を治療できているようなので、長期に渡って人体に毒性がないことが確認できれば、実用化されるかもしれません。

 

TN