緑内障の治療とは、視神経の変性が進行しないように眼圧を下げることです。その方法には、ご存知のように、1)点眼薬、2)レーザー、3)手術と大きく分けて3種類あります。
実際の治療では、この3つを組み合わせて行うことになりますが、それぞれ一長一短があり、決定的な方法はないとされていました。
初期の緑内障(あるいは高眼圧症)のバージン症例に対し、どの方法で治療するかについて、最近、世界的に注目されている論文があります。下記論文はフリーアクセスですので誰でも読むことができます。
この論文では、初期の緑内障(POG)または高眼圧症(OHT)を無差別に2群に分け、一方はレーザー治療(SLT)単独、他方は点眼薬(1〜3剤まで)で治療を開始し、3年間の経過を比較しました。
その結果、視野変化が進行しないという、緑内障の治療効果において、両方法に大きな差は認められませんでした。
従来の、「まず点眼から開始する」との考えを否定し、「まずSLTを考慮すべし」と述べています。SLTは副作用が圧倒的に少ないからです。
SLT(Selective Laser Trabeculoplasty)は、1995年ごろから導入されている既存の医療技術です。しかし、これを、手術、点眼薬との並立の中で、どう位置づけるかは常に論争の種であり、なかなか自信を持って答えることができませんでした。
今回の論文はひとつの解答になりそうです。緑内障の治療において、パラダイムシフトをもたらすかもしれません。
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