多焦点IOLの乱視矯正

多焦点レンズでは術後の裸眼視力が重要ですので、大きな乱視を残すことはできません。乱視度数<1.0Dが目安ですが、これがなかなか難しいのです。

 

もともと角膜乱視が強い患者さんで、手術の際にその乱視を矯正する方法は、大きく分けて2種類あります。

 

その1。乱視度数が入っているトーリックレンズを用いる方法。その2。乱視矯正切開を加える方法です。

 

いずれにしても、乱視軸の同定が必須で、その軸にあわせてトーリックレンズを入れるか、切開を加えるかしないと、乱視矯正の効果は出ません。

 

乱視の軸は目視でも大体は出来ますが、「正確に」となるとそれでは不十分です。

 

術前の角膜乱視の軸を前眼部OCTカシア2で測定し、結膜とともに写真に撮るのが当院で行っている方法です。手術の際は、患者さんの結膜血管地図(これは人により異なり、認証にも使えるほどです)から軸を判断します。とても正確です。

 

軸合わせは特に重要ですので、もっと大がかりに、手術中の患者さんの乱視軸やレフ値を測定する方法もあります。

 

術前法か術中法かどちらが良いかについては、一長一短があり、結論が出ていません。今のところ、どちらでも同じようによい成績が出せると報告されています。

 

個人的には、カシア2の方が簡単で、時間もかからず、全角膜乱視(後面も含めた)であることなど、良い点がたくさんあると思っています。

 

トーリックの用意がないテクニスマルチなどの多焦点レンズでは、強主経線切開法でよい成績を得ています。

 

特に、若い近視の人に多い直乱視は、昔ながらの幅広強膜トンネル切開を行うのがコツです。

 

ST