同時手術

同時手術とは、本来単独で行われる二つの手術を同時に行うことです。例えば、白内障手術と合わせて、硝子体手術、あるいは緑内障手術を行うと、単独手術の合計ではありませんが、一方の手術の点数ともう一方の手術の点数の半分を請求できます。よって、一部の組み合わせに限り、同時手術が保険医療で可能となっているのです。

 

同時手術は複数の単独手術に比べ、費用が節約できるメリットがあります。

 

患者さんにとってメリットは他にもあります。それは、手術の回数が減ることです。「手術」と言えば、怖い、痛いなど、マイナスのイメージがどうしても付きまといますので、2度にわたるよりは一度で済む方が良いに決まっています。

 

硝子体手術と白内障手術の同時施行は、どちらかと言うと硝子体手術がメインです。網膜剥離手術で白内障手術を行うのは、前者の効果をより高めるからですし、黄斑円孔手術で白内障を同時に手術するのは、ガス白内障が予想されるからです。

 

しかし、症状のほとんどない網膜前膜を白内障手術の際に取り除くのは、白内障手術の術後の黄斑浮腫の発症率を下げる目的ですので、メインは白内障手術です。

 

白内障手術の患者さんに網膜前膜を認めたら、同時に前膜も取っておいた方が(手術の予後が)良いという考えです。

 

緑内障に対するMIGSも白内障手術と同時に行えます。緑内障の治療とは神経の変性が進まないように眼圧を下げることですので、たとえ点眼薬でそれなりにコントロールされていたとしても、白内障手術を受けるとすれば、同時手術で眼圧をより下げられる可能性を逃す手はありません。

 

副作用やさし忘れが懸念される点眼薬への依存を減らすことができます。

 

当院では、白内障の患者さんに緑内障があれば、緑内障の症状に合わせて、最適なMIGS(低侵襲緑内障手術)を同時施行するように心がけています。

 

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