球面収差の補正

10年以上前から、ほとんどの眼内レンズ(IOL)が非球面レンズになっています。カメラのレンズでも、シャープな像を結ぶために非球面が使われるのと同様です。

 

しかし、補正されるのは収差のうち球面収差のみで、その量もIOLによってまちまちです。非球面とはいっても、球面収差の補正効果がほとんどないIOLもあります。

 

また、実際の症例で角膜の球面収差が過大であったとすると、それを補正できるIOLはありません。

 

最も補正効果の高いIOLでも-0.2程度であるのに対して、実際の症例では球面収差量が0.5を越えるようなこともあります。

 

正の球面収差が多いのは角膜の中央が比較的フラットな場合であり、LASIKやRK後に見られます。

 

術後に正の球面収差が大きく残ることが分かっている場合、屈折の狙いを近視よりにする必要があります。角膜周辺部の高屈折力が計算式に反映されていないことが多いからです。

 

有効光学径の小さいRK後などが特にそうで、術後も遠視が進む可能性を考慮すれば、-2Dくらいを狙ってちょうどよいような事もあります。

 

収差が多く残るとピントは甘くなり、コントラスト感度は低下しますが、ピントの合う範囲(深度)は広くなり、メガネなしで生活しやすくなります。

 

角膜中央の扁平な部分が遠方視、周辺が近方視のレンズになるからです。

 

この原理を活用しているのが、多焦点IOLのミニウェルレディです。

 

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