ショパンのワルツ

ショパンはピアノレパートリーの定番ですが、エチュードやバラードなど、素人が気軽に取り組めない難しいものから、ノクターンやワルツなど比較的容易なものまで色々な曲があります。

 

ショパンは未だ貴族社会の夢醒めやらぬパリで、ピアノ教師として生計を立てていましたので、女性向けの曲をたくさん書いて、生徒に弾かせたのです。ワルツのうち、ショパンが生前に出版しなかった後半の曲は大体この類です。

 

「別れのワルツ」とかそれらしい名前がついてるものもありますし、生徒に教えた際の書き込みが残されたりもしているようです。

 

ショパンの友人で弟子のフォンタナがショパンの死後に出版した作品69−1、69−2、70−1、70−2、70−3の5曲のことです。

 

このうち、最後の曲を除いた4曲はショパンの自筆譜が残されており、最近はフォンタナ版ではなくこちらの方が正統性があると認められているようです。

 

ヘンレ版のワルツ集では、これらの4曲について、自筆譜とフォンタナ版が並べて印刷されており、比較すると面白いです。

 

フォンタナ版は昔からよく知られていますが、自筆譜と比べると余分に装飾を加えたり、全体を引き伸ばしたりと、素朴な味わいが失われているような感じがします。

 

しかし、実際にショパンがこのような形を認めていた可能性もありますので、一概に否定は出来ません。

 

幻想即興曲でも同じですが、フォンタナ版は和声的に解決されすぎていたり、より易しく弾けるようになっていたりと、当時の生徒たちにすり寄ったところが見受けられますので、自筆譜がある曲は当然そちらの方を採用するべきと思います。

 

ということで、ワルツの楽譜では、ヘンレ、ペータース原典版、エキエル以外のものは避けたほうがよさそうです。

 

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