強主経線切開による乱視矯正

今日もお昼から白内障手術、硝子体手術が行われました。白内障手術では15眼中5眼で多焦点眼内レンズが使用されました。

 

多焦点眼内レンズでは術後の裸眼視力が要求されますので、乱視対策が欠かせません。術後の乱視は大体1.0D(ディオプター)以下になるよう、手術で工夫するか、後日タッチアップレーシックを行うかということです。

 

術前に乱視が大きい症例では、手術時に乱視を出来るだけ治す必要があります。その方法として、1)強主経線切開と2)トーリックIOLがあります。

 

1)は角膜曲率の大きい軸上で角膜に減張切開入れる方法であり、白内障手術の創を利用する方法と、別の切開を加える方法があり、後者はさらに、AK(Arcuate Keratotomy)とLRI(Limbal Relaxing Incision)の2方法があります。

 

それぞれ一長一短がありますが、もっとも簡単で効果が確実なのは白内障手術の創を利用する方法です。

 

当院では前眼部OCTカシア2で乱視軸を測定し、手術中にマーキングを行い、市川氏弧状ブレードで強主経線上に自己閉鎖創を作るか(角膜切開)、より大きな強膜切開を作って乱視矯正をしています。

 

切開幅は2.5, 2.8, 3.2, 4.0, 6.0mmであり、乱視量によって加減します。

 

過去のデータによりますと、2.5mm幅で約0.25D、6.0mm幅で0.5~1.5Dの乱視矯正効果があります。

 

この方法により、テクニスマルチなど、トーリックの用意がない多焦点レンズでも、角膜乱視症例に使用可能となります。

 

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